キッシンジャーさん
昨日のNHK国際報道に亡くなったキッシンジャーさんの話題が出てきた。
この人の死について、わたしはべつに感慨もないから黙っていようと思ったけど、NHKのほうはなんとなく不満がありそうな報道。
んならいわせてもらおうじゃないかと、わたしもひとこということにした。
キッシンジャーさんというとニクソン大統領のとき、米中の融和の橋渡しをした人として有名だ。
べつにほめるほどエライことをしたわけじゃない。
政治家というのは国際状況をよく観察していて、気が熟したらそのとき最善と思えることをするだけだ。
大陸中国が台湾中国より強大になり、それなりの国際的地位を占めてきていることがわかれば、いつまで無視もしていられない。
ただしいきなり仲良くしましょうといったのでは、アメリカ国内にもわからず屋がいるし、それまで敵対視してきた手前もある。
そこであらかじめの根まわしを、ひそかにやったのがキッシンジャーさんだ。
しかし米中の融和は彼がやらなくてもいつかは誰かがやっただろう。
日本では田中角栄さんが同じことをしたけど、これだって大陸を無視できなくなったからで、べつに角栄さんにそれだけ先見の明があったわけじゃない。
政治というのはそういうふうに、なるようにしかならない場合が多いのだよ。
NHKの不満というのは、キッシンジャーさんの融和政策が、中国を現在のような大国にしたということ。
そうだろうか。
米国はその後も天安門事件や、香港の騒乱のさいなど、機会あるごとに介入してみたけど、中国の台頭はとめられなかった。
キッシンジャーさんの宥和のための根まわし政策がなくても、中国はいつかは現在のような大国になっただろうし、これは時代の趨勢というものだ。
大英帝国の衰退が止められなかったのと同じだよ。
もうひとつのNHKの不満は、キッシンジャーさんがウクライナ戦争で、ウクライナはクリミア半島の奪還を断念して、ロシアとの和平に応じるべきだといったこと。
これも国際政治に精通した人なら当然の意見だ。
ロシアはかっての帝国を夢見ている、弱小国ウクライナを征服しようとしているという人が多いけど、ロシアの狙いは最初から一貫している。
クリミア半島は黒海をにらむ戦略上の要衝だ。
これを手土産がわりにウクライナのNATO加盟を許すわけにはいかないから、そこだけでも返せというのがプーチンの言い分だ。
こう考えれば、ロシア軍が戦争の初めのころから、竜の歯の防衛ラインにこもって、ほとんどウクライナ領内へ侵攻しない理由もわかるね。
キッシンジャーさんが上記の条件で和平を提案したとき、ゼレンスキーさんが反対したという。
それも当然すぎるくらい当然で、そんなわかりきったことを持ち出すNHKの子供じみた報道に感動すら覚えてしまうワ。
この期に及んでもまだウクライナ戦争を長引かせようという日本の公共放送の、目的はいったいなんだろう。
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