スパイイルカ
先日のNHKのCOOLJAPANシリーズで、動物と触れあえる日本のいろんな場所や施設を、外国人はどう思うかという内容をやっていた。
日本人は当たり前だと思っている奈良のシカや、温泉に入るサル、動物カフェが人気だそうで、なかなかおもしろかった。
これとは別に、「ひとりぼっちの“スパイ・イルカ”」という番組があって、ノルウェーで発見されたシロイルカが、体にカメラ装着用のハーネスをつけていて、それがロシア製だったから、ロシアのスパイとして訓練されたイルカだろうと決めつけるものがあった。
こんな目立つイルカを秘密工作に使う馬鹿はいないから、これはまあ、NHKもジョークでいってるんだろうと思う。
番組でノルウェーの人たちは、このイルカを野性にもどして、北極海の本来の生息地に返そうといろいろ苦心する。
ところが飼われていた期間が長かったらしく、人間に慣れすぎていて、どうしても人間の近くから離れようとしないのだそうだ。
わたしはペットに対しても、ペットにはペットの分際があると、世間とは異なる考えをする人間だから、観ていていろいろ考えさせられた。
シロイルカというのは愛嬌のある表情をしているものだから、つい感情移入して、賢いなあと感心してしまうけど、ロシアで飼われていたものが、ノルウェーで人気者になる。
だれにでも尻尾をふるイヌが番犬に使えないように、このイルカもあまり利口じゃないようだ。
それでも人々はこのイルカの世話をやきたがる。
これは偽善じゃないのか。
水族館の動物を野性にもどそうという広範囲な運動なら、とくに反対する理由はないけど、この番組のように、特定の、ある1匹を野性にもどそうというのは褒められたことではない。
自然界はきびしいもので、どんな動物でも生きていくのは簡単じゃないのだ。
彼が餌を捕まえられるかどうかも定かじゃないし、警戒心を忘れた動物は、あっという間に捕食者(イルカならシャチのような)に食べられてしまう可能性もある。
こういう場合ムリに野性に返すより、水族館のようなところで保護して、ずっと人間と触れあえるようにしたほうが、彼にとっても幸せなんじゃないか。
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