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2024年4月 6日 (土)

中国の旅/蘭山

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白塔山からタクシーで蘭州市内にある東方紅広場へ行ってみた。
ここは蘭州市内の中心だけど、行ってみると大きな体育館を中心にしただだっ広い広場で、スポーツにあまり興味のないわたしには、人間以外にとくに見るものはなかった。
広場をぶらついているうち、この地下全体が商店街になっていることがわかった。
デパートを地下にもぐらせたみたいで、店の数は多かったけど、上海を見てきたわたしには、とくべつに目を引く店があるわけでもない。
充血した目が気になって仕方ないので、広場の近くでたまたま見つけた薬屋へ寄ってみた。
紙に「我疲了=わたしは疲れた」と買いて、サングラスをはずしてみせると、なるほどとうなづいて、薬屋が出してくれた点眼薬が2元プラス。
予想よりだいぶ安かったけど、漢方の秘薬というようなものではなく、日本でもよく見かけるプラスチックの小瓶に入った気休めみたいな薬だったので、効果は期待できない。

金城賓館まで歩けない距離ではないはずなので、タクシーに乗らず徒歩でぶらぶらして、ホテルの近所の食堂がずらりと並ぶ横丁で食事をしていくことにした。
回族の店や新彊料理なんて店もあったけど、ま、そのへんのありきたりの蘭州料理の店へ。
この日も朝からろくなものを食べてないから、栄養補給のつもりで鉄板焼牛肉、キノコと豚肉炒め、マーボ豆腐、例によって生トマトなどを注文した。
鉄板焼がこないうちに腹がいっぱいになってしまった・・・・ところへ、女の子が牛肉を切らしてますと言い訳にきた。
これ幸いと鉄板焼はキャンセル。
それでは申し訳ないので、何か水果(果物)はないかと訊くと、彼女は香蕉、苹果とふたつの果物の名前を書いた。
あとのほうはリンゴのことだけど、前のほうはなんだっけ。
わからないほうでいいといったら、女の子はとなりの露店でバナナを1本買ってきた。

蘭州には2泊して、その後敦煌に向かう予定でいたから、この日のうちに列車のチケットを確保しておきたい。
金城賓館へもどってフロントで、このホテルでは列車の切符を手配できますかと尋ねると、駅へ行けばありますって、そんなことは当たり前だ。
駅は混むからイヤなんだとぼやきつつ、いちおう駅へ行ってみることにした。

時刻表を片手に駅の窓口で声をかけると、売場の女の子がぱっぱっとパソコンをたたいて、その便はありません、こっちの便ならありますという。
こっちの便というのが気に入らなかったので、もうひとつ別の希望を出してみたが、やはり没有である。
どうも態度を見ていると、いちどこれを売ると決めたらなにがなんでもそれしか売らないつもりのようにも見える。
中国の駅では客の抵抗は無駄である。
おかげで最初の希望は11:43分発だったのに、けっきょく19:59分発のものにされてしまった。
これだと敦煌のもより駅である柳園到着が16:59である。
この時間は西域ではまだ昼間だけど、なんせ初めての土地だから、その日のうちに敦煌まで行けるかどうかわからないし、ホテルもぜんぜん予約してないのである。
しかしこれが中国の旅だと思って納得することにして、なんとか手に入れた切符は、例によって軟臥車(1等寝台)で230元くらい。
はっきり覚えてないけど、300元出しておつりをもらったことだけは確かである。

この晩はホテルで濡れタオルを目の上にのせて寝た。
翌朝には充血がひいているようにと祈りながら。

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翌日は朝7時半起床。
前日はたっぷり休養をとり、いろいろ手をくだしたにもかかわらず、目の充血はひいていなかった。
やれやれ、血走った目のまま、この日の夜に蘭州を発たなければならないのかとがっかり。
列車の時間が夜なので、どこかで時間をつぶさなければならないから、この日は蘭州で、黄河をはさんで白塔山の対極にある蘭山公園に行ってみることにした。
朝食はまたホテル近所の食堂街へ行く。

釜から湯気の立っている店に食い気を誘われたから、首をつっこみ、たまたまテーブルで麺を食っていた客がいたので、これと同じものをというと、店員はなんとかかんとかという。
これと同じものといって指さしているのだから、誰にだったわかりそうなものなのに、やはり店員はなんとかかんとかを繰り返す。
そのとき店のなかにいた若者が、日本語で、「太い麺にしますか、細い麺にしますかと聞いてるんですよ」と声をかけてくれた。
意味はわかったけど、今度はどうしてこんな店に日本語のわかる人がといぶかしく思った。
たまたまこの店の隣りのビルの5階に、甘粛省シルクロード旅行者という会社があり、そこの従業員がこの店に食事に来ていたのだそうだ。
おかげで無事にメシを食い終えて、これが1元7毛。
これでは栄養失調になってしまわないか。

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11時にホテルをチェケアウトして、大きな荷物はホテルに預け、カメラやモバイルギアだけを持って蘭山に出かけた。
蘭山の高さは、えーと、2000メートルと書いたネット記事もあったけど、いくらなんでもそんなに高い山には見えない。
蘭州市そのものがかなり標高の高いところにあるのかも。

ホテルのまえでタクシーをつかまえ、あの山のてっぺんまでいくらだというと10元だという。
見た感じそんな金額で行けるようには見えないと思っていたら、山のふもとにあるリフト乗り場で降ろされてしまった。
ここからリフトを利用すればいいとのことである。

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リフトはかなり長く、30~40分は乗っているだろう。
場所によっては足のすくむ高さではあるし、女性は乗る前にオシッコをすませておいたほうがいい。
リフトから見下ろすと、蘭州の市内は高層ビルが乱立し、足もとの山すそに褐色の民家がびっしりと立ち並んでいるのが見える。
おそらく近代建築がそびえる前の蘭州のおもかげを残すのは、このあたりの風景なのだろう。
10元という金額は中国人にとっては安くないらしく、徒歩で登っていく人もたくさんいた。

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蘭山山頂からの眺めはけっこうなものである。
白塔山より高いだけあって、蘭州市街とその背景の山並みまで一望だ。
はるか彼方に樹木のほとんどない、富士山の5合目以上のような不毛の山脈が連なっているのが見える。
日本の山脈と異なる異様な風景で、ここから先はシルクロードの砂漠なのだという感慨がひしひしと伝わってくる。

山頂に塔があり、近くに観光客相手のウマやラクダがいた。
回族の若者がウマに乗らないかとしきりにすすめてきたけど、一巡する時間も料金もわからないし、いまいる場所以上にいい景色が見えるとも思えないからやめておいた。
ウマの待機場の近くにゴミ捨て場があって、例のネズミの化け物みたいなやつ(マーモットの仲間)が餌をあさっていた。
民家のわきや集落の裏山にすぎないような場所に、これだけ自然が残っているとはうれしい話だけど、発展する中国で彼らはいつまでのんきにゴミをあさっていられるだろう。

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帰りは山頂から小型の路線バスで下山することにした。
客がいっぱいになるまで発車しないのが難点だけど、乗り合いでひとり5元だったし、わたしには急ぐ理由がひとつもなかったのだ。
しかしこいつはポンコツのくせに、運転手がつづれ織りの山道をやたら飛ばすので恐ろしかった。
これではリフトのほうがよほどマシだと思い、とちゅうにあった見晴らし台のようなところで、ここでいいやと下りてしまった。
そこからなら徒歩でも街まで30分もあれば下りられるだろう。
樹木のほとんど生えてない山だからどこからでも下界が見えるので、初めて来た者でも迷いようがない。
ここに載せた4枚組の写真は下山する途中、あるいは下山した場所で見た景色。

下山はしたものの、列車の発車までまだ5時間もある。
ヤケクソになって、タクシーをつかまえて前日に行った中山橋まで行ってみることにした。
ここには川べりに休憩所があって、レンタルの寝椅子もあった。
黄河の川岸で川風に吹かれて昼寝でもしたらさぞかし気持ちがいいだろう。
寝椅子は八宝茶のドリンクがついて、5元だった。

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河べりでワープロを打っていたら、目の前に奇妙な乗り物があらわれた。
NHKの「シルクロード」にも出てきたけど、「羊皮筏子」といって、羊の皮に空気を入れてふくらませたものを、10個ばかり束ねてイカダにしたものである。
観光用で船頭が乗ってみないかという。
20元は高い、そのへんまででいいから10元にしろよとねぎって乗ってみることにした。
荷物をとなりの寝椅子にすわっている娘に、勝手に「お願いしまーす」といい置いて、ふらりふらりと川面をただよってみる。
あまり遠くまで行くともどってくるのが大変だし、預けた荷物も心配だから、ほんの30メートルほどこぎだしてすぐ陸にもどった。

中山橋を渡って白塔山の下の清真寺(モスク)まで歩いてみる。
清真寺は白塔山ロープウェイからま下に見える茶色の建物群の中にあり、ここは回族の部落らしかった。
山の斜面にレンガの建物が複雑に重なり、なんとなく写真で見たカスバを想像したものの、よそ者が寄りつける雰囲気てはないので、外からながめただけで引き上げた。

タクシーでまた東方紅広場までいく。
広場の地下商店街でビール、チャーハン、マーボ豆腐などの食事をして、これは22元。
ついでにトイレを借用し、さらに街をぶらぶらして、ようやく駅へ行ってもいい時間になった。

金城賓館で預けてあった旅行用のスーツケースを受け取り、タクシーで駅前に到着したのが18時20分ごろで、列車の発車までまだ1時間半あったけど、このあとは駅の待合室で時間をつぶすことにした。
列車は蘭州発のウルムチ行きで、時間がくるとわたしの席へは車掌が案内してくれた。

個室へ入ってびっくりした。
ものすごい美人がベッドに腰をおろしているではないか。

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彼女はわたしの同室で、武威まで行くといっていたけど、こんな美人といっしょなら南極まででも行きたい。
残念というか気のドクというか、彼女は目を血走らせたわたしに度肝を抜かれたらしく、あとでべつの部屋に移動(遁走?)してしまった。
残念だけど、どうせたんと会話ができるはずがないのだ。
部屋に残ったのは無骨そうな中国人男性ひとりになったので、わたしはさっさと寝ることにした。
出発してまもなく日が暮れた。
空には三日月、地には荒涼とした山の影が黒々と、わたしはすでにウルムチまでの距離の半分以上を超えた。

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