ロシア流哲学
20日のNHKで「カラシニコフ銃1億丁・史上最悪の殺人兵器」という番組をやるらしい。
またライフル開発秘話にかこつけて、ロシアを中傷するつもりだろう。
わたしはこの銃のいわれも知っているけど、開発者のカラシニコフも、銃器に罪はない、あるとすればそれを使う人のこころだといっていた。
この銃がまたたく間に世界中に氾濫し、あちこちで、もっぱら金のないゲリラたちに愛用されたことは事実である。
これはロシアという国の製品哲学が関わってくる。
ロシアは精密機械の製造では、ドイツや日本、アメリカにさえかなわない。
そのかわり質実剛健、粗末であっても使い勝手がよく、故障しない機械を作るのが得意だ。
ソ連時代のソユーズ宇宙船は、米国のスペースシャトルが故障続きで引退したあとも、人類にとってゆいいつの宇宙への足として活躍し続けた。
モスクワの地下鉄に乗ると、ガラガラガシャンとものすごい音をたてて入ってくる列車に驚くけど、これもロシア流哲学なのだ。
日本のようにスマートで静粛な車両でないけれど、いつまでも丈夫で長持ちなのである。
カラシニコフAKは極北の低温のなかでも、灼熱の砂漠でもめったに故障しないし、構造が簡単だからコピーも容易で、世界中のゲリラに愛されたのももっともなのだ。
開発者のカラシニコフは、第二次世界大戦で優秀な火器を持ったドイツ兵に、ロシア軍の兵士が射的の的のようにバタバタと撃ち殺されるのを見て、自分たちの銃を開発しようという気になったといっている。
この銃のおかげでどれだけ多くのロシア兵(ウクライナ兵も)の命が救われたかわからない。
そういうことを、たぶんNHKは無視して、また徹底的にロシアを非難するつもりだろうから、せめてこの文章を読んでいるアナタだけでも、カラシニコフについて知っておいてくれたまえ。
銃に罪はない。
あるのは戦争をあおり、武器商人と結託して金儲けをする、そう、アメリカ大統領みたいな邪悪な人間のほうなのだよ。
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