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2024年7月30日 (火)

またありんくりんサン

やれやれ、また「農と島のありんくりん」さんが、なんだかよくわからない屁理屈を並べているよ。
今回もオリンピックについてだけど、フランス革命の歴史まで持ち出してマクロンさんをあげつらっている。
ありんくりんサンは、ウクライナ戦争ではロシアをけなしていたはずだけど、フランスは西側の一員としてウクライナを支援しているのに、いいのか、そんなにマクロンさんをけなすようなことを言って。
彼の主張が最初と最後で整合性がとれないのは、いまに始まったことじゃないからかまわんけど、彼の文章を読んだおかげで、レーニンやスターリンの粛清が、じつはフランス革命を忠実になぞったものであることがよくわかった。
いまでもロシアをコワい国と思っている人もいるようだけど、そのルーツはフランスにあったのだ。

フランスという国はおもしろい国で、いまは西側の一員としてアメリカに協力しているけど、むかしからアメリカのいうことは素直に聞かないという頑固な一面があった。
フランス語にこだわりを持つのもそうだし、本心では観光に来るアメリカ人を田舎者と馬鹿にしているらしい。
こういう点ではなんでもかんでも米国追従の日本とは大違いだ。

正直いうとわたしはオリンピック中継をとちゅうで放り出したので、ありんくりんサンが問題視している「最後の晩餐」の場面を見ていない。
あとで写真を見て、真っ先に連想したのがオッフェンバックの「天国と地獄」だった。
「天国と地獄」はキリスト教ではないけど、神さまの夫婦がともに不倫をしたり、最高神がハエに化けて女をくどいたり、最後は全員のカンカン踊りになるという、神さまたちを徹底的にコケにしたオペラだ(そういえばオッフェンバックもフランス人だったな)。
こういう自由な発想や精神はフランスの伝統的なもので、アメリカで差別に苦しんだ黒人ジョセフィン・ベーカーなどを暖かく迎え入れるような寛大さも持っていた。
そこには快楽や退廃を徹底的に求めるという負の側面もあったけど、法や規制に束縛されないという芸術本来の姿勢ともいえる。
わたしもパロディや悪ふざけに熱烈な愛情を感じる男だから、ほかの部分は知らんけど、「最後の晩餐」の演出は(芸術として見れば)成功だったといえるだろう。
ありんくりんサンは、これがイスラム教相手だったら絶対にやらなかっただろうといってるけど、シャルリ・エブドの襲撃事件もフランスの自由な気風が産んだ悲劇といえる。
だいたいこういうのは、宗教に対する冒涜ではなく、オレたちの神さまをバカにされたと、怒り狂ってテロリストを派遣するほうに問題があるんじゃないかね。
忘れてはならないは、シャルリの襲撃事件で死んだ警官のなかに、イスラム教徒もいたということだ。
今回の教会を怒らすようなことを、あえて押し通したフランスの姿勢だけは買ってもいいとわたしは思ってるよ。

「青ざめた馬」についてもなんかいってるけど、いままさにウクライナでは戦争と死が続いているわけだ。
フランス政府に抗議する勢力が、フランス国内にも一定数いて、それが仕組んだのなら、この演出もなかなか気が利いてるとは思わんかね。
ついでにいっておくけど、聖書やフランス革命に言及するなら、どうしてナポレオンのロシア遠征には触れんのだ。
世界中の人たちに訴えたいけど、ロシアはナポレオンとナチスドイツと、2回も大規模侵略に遭っている。
しかもドイツとの戦争では、第2次世界大戦で最大の戦死者を出した。
2度とロシア国民を侵略者の手にゆだねないというプーチンの決意を、どうしてわかってやらないのだ。
西側の住人が西側の肩を持つのはかまわないが、相手を無法者呼ばわりするのはやめろ(とくにNHK)。

わたしはありんくりんサンの文章を読むたびに、広い世間から自分に都合のいい記事や主張を集めて、自分の主張に応用しているだけのカルト宗教じゃんと思ってるんだけど、今回もそれを裏書きしてくれたようだ。

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