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2024年9月 3日 (火)

アフリカの未来

NHKの「世界ふれあい街歩き」はわたしの大好きなテレビ番組である。
名所旧跡よりもどちらかというと、そのへんの街のなかをうろつきまわるというポリシーが、わたしの旅によく似ているのだ。

録画しておいた「街歩き」を観ていたら、ベトナムのニャチャンという街が出てきた。
ベトナム南部にあるリゾート地で、7キロもあるという美しいビーチが広がっているところだ。
ビーチを見ているかぎり、わたしの知っているハワイみたいだけど、浜辺にいるのはみんなアジア人で、一歩そのうしろの街の中へ踏み込むと、タイのような東南アジア的喧騒になる。
それでも登場するベトナムの一般市民たちが、いずれもハワイ人のように、陽気で明るいことに感心した。

わたしの世代だと、ベトナムといえば、まず浮かぶのがベトナム戦争の記憶だ。
血みどろの戦争の果てに現在のベトナムはあるはずなのに、国民はとっくにそんなことを忘れて、ノーテンキに暮らしているように見える。
たとえ貧しくても、共産主義の下でも、人々が楽しく暮らすことは可能であるという見本のようだった。

唐突に話がアフリカに飛ぶけど、アフリカには政治が混乱して、しょっちゅう殺し合いばかりしている国が多い。
しかし誰だって殺し合いばかりしたいわけじゃあるまい。
まじめな政治家が出てきて、まじめな政治をすれば、誰もが殺し合いなんかやめて平和に暮らしたいと考えるんじゃないか。
なぜこれまでそうしなかったかと考えると、植民地時代の宗主国がかげで糸をひいて、まじめな国にならせないようにいろいろ謀略を仕掛けていたせいかも。

こういうことを書くと、もう放り投げる人が出てくるだろうけど、べつに陰謀論を語ろうというわけじゃない。
アフリカはもうすぐアジアに匹敵する人口大陸になる。
アフリカ人というと、教育も受けてない無知な国民ばかりだと思う人がいるかも知れない。
しかしわたしは以前、作家のポール・セローといっしょにアフリカを(バーチャルだけど)旅をして、この大陸の事情も勉強したことがある。
現在ではアフリカのほとんどの国で、首都は高層ビルが立ち並ぶ近代都市になっているし、アフリカにだって教育熱心で、まじめな政治をしようという政治家も多いのだ。
まずはそういう国が率先して、徐々にほかの国も引っぱれば、アフリカ全体が殺し合いの混乱から脱却できそうな気がする。
同時に、混乱はみんな先進国が仕組んだ謀略だったということが明るみに出るかも知れない。

なぜ急にアフリカに飛んだかというと、いま日本を始めとして、あちこちでアフリカ・サミットが開かれており、アフリカは東西両陣営からひく手あまたなのだ。
日本ではTICAD(アフリカ開発会議)が開催され、インドネシアでもアフリカ会議が、中国では中国主導のアフリカ会議がもうすぐ始まる。
NHKの「キャッチ世界のトップニュース」では確信犯の別府正一郎アナが、開発会議で訪日したナイジェリア、チャドの政治家にインタビューしていた。
どちらの国の政治家も、日本の偏見に満ちた公共放送のアナウンサーなど、歯牙にもかけないくらい堂々と受け答えをしていて、話にソツがなかった。

わたしひとりの人生のうちに、ベトナムが不幸な国から幸福な国に変わったように、未来のことは誰にもまったく予測できないのだ。
つぎの人間の一生のうちに、アジアやアフリカの時代が来ることは確実なように思える。
ちょっと前にこのブログで、もしもわたしに子供がいたら、第三言語として彼にどんな言葉を勉強させるべきかということを書いたけど、アフリカなんぞに興味のないという世間のみなさんは、せいぜいちゃらちゃらしたフランス語か、ナチスに回帰しようというドイツ語でも習わせるんだね。

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