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2024年10月 2日 (水)

またイヴァンさん

わたしは経済に詳しいわけじゃない。
株なんかやったこともないし、いまの日本の景気が欧州なんぞよりマシなほうではないかということも、漠然と感じるだけで、専門的なことをいわれてもわからない。
それでも文章を読んで、相手がなにをいいたいか理解するようなことは、まあまあ得意なほうじゃないかと思っている。
ココログのブログの中には、ミリタリーおたくというべき人がいて、やたらに軍事のことに詳しいのに、ウクライナ戦争でウクライナがロシアと互角で戦っていると主張する人もいる。
“群盲象を評す”にならないかと心配だ。
細部にこだわるなら、そこから正しい全体像を導き出してほしいものだ。

こんなことを書いたのは、またココログの「イヴァン・ウィル」さんが言ってることに、疑問を感じるところがあるからだ。
新しい彼のブログを読むと、中国という国も完全にグローバル化された、つまりふつうの資本主義国家になったと思わざるを得ない。
中国が不景気を克服するためにしている対策・・・・金利を上げたり、企業や国民に補助金を出したり、貧しい人々に支援金を出す政策は、すべてアメリカや日本が不景気対策のためにしてきたものばかりではないか。
毛沢東時代のように、鍋や釜まで供出させて鉄を作れとか、稲の害をなすスズメを一掃しろなどという、経済法則や自然の摂理を無視した政策を取っているわけではないのだ。

イヴァンさんの文章を読んで気になったことがある。
“◯◯として一定程度の効果は発揮すると思われる”
“◯◯を示している部分もある”
こういう言い方は、相手のいうことを認めたくないのに認めざるを得ない場合によく使われるものだけど、ずけずけいわせてもらえば、たんなる負け惜しみになってしまうことがあるからご注意。

まだある(こちらが本文だ)。
『在庫マンション処理の問題はあくまで地方政府にやらせ、中央政府は責任を負わない、という形にしたいのだろうと思います
そうだろうか。
中国人というのは儲かるとみんないっせいに飛びつく傾向があるとは、以前のわたしのブログで書いたことがあるけど、地方の共産党幹部のなかには、土地の売買やマンション建設が打ち出の小槌のように思えたこともあるだろう。
そういう連中はバブルがはじけるとひとたまりもなかった。
しかし中央政府は資本主義の論理にしたがって、責任はすべてマネーゲームに狂った地方政府や企業や、投機にのめり込んだ個人に取らせた。
ただし銀行まで倒産が続出するようでは、国家の存続に関わってくるから、そのへんは微妙なサジ加減が必要だ。
イヴァンさんは中国政府の無責任のようにいうけど、これもまたアメリカや日本のような先進国が、何度も繰り返してきた不景気対策ではないか。

『この一連の景気刺激策が日本時間9月19日に決まったアメリカFRB(連邦準備制度理事会)による0.5%の利下げを受けて行われたものであることは明らかです』
これもアメリカの利下げに応じて、日本もとっている対応策で、中国だけが特別な対策をとっているわけじゃない。
こんなふうに中国の場合だけを取り上げていると、ウクライナ戦争で、西側がウクライナの被害には触れず、ロシアの被害だけを強調するのと同じことになってしまう。

中国が経済的に苦境にあるとはよくいわれるけど、先日のNHKの国際放送では、中国で女性の地位が向上しているという報道があり、女性のひとり旅が増え、観光地ではその対応に追われているとか、女性だけで営業している美容院が盛況という報道があって、どこが不景気なのかと疑問を感じるくらいだった。
NHKは、本心では貶したいのだろうけど、これでは日本の実情と変わらないし、少なくても外野が騒ぐような不景気とはとても思えない。

細かいことばかりに、いちいち反論していても仕方がないので、結論に行こう。
『国際経済は様々な部分で繋がっていますので、どの国もその国のことだけを考えて政策を打っても効果が出ないのです。習近平氏は「中国式現代化」を盛んに唱えていますが、もし習近平氏が世界経済と分離した形で中国の現代化を独自に進めようと考えているのだとしたら、そのこと自体そもそも無理があると私は考えています』
中国が単独で現代化を進めるるのは無理だそうだけど、それでは中国に制裁をかけ、単独化に追いやっているのは誰なのか。
わたしは中国が世界経済と分離したかたちでやっていこうとしている根拠などひとつも知らない。
むしろ安価な日常品生産国として、世界でそれなりの役割を果たしてきたのではないか。
中国の不景気をいうならアメリカや欧州はどうなのだ、日本は景気がいいのか。
そういうことを無視して、中国のことばかりをけなすのでは、そのへんの薄っぺらな右翼サイトと変わらない。

制裁を受けるようなことをするから悪い。
ロシアに支援するからだ、中国の自業自得だというのかも知れないけど、それについてはわたしのブログを読んでもらえば、ロシアにはロシアの立場があり、中国にはロシアを支援しなければならない理由があることもわかるだろう。
すぐに制裁をふりまわすアメリカのことも考えないと、全体像は理解できないはずである。

わたしはイヴァンさんに恨みがあるわけでもないし、いま日本全国に吹き荒れている、中露を貶そうという薄っぺらな右翼サイトに比べれば、反論する価値があると思うからこういうことを書いているのだ。
願わくば、公平客観的という原則に立ち返って、細部ではなく、全体像を把握してもらいたいものである。

じつはこの記事をブログに載せようかどうかずっと迷っていたのだよ。
他人がなにを書こうとおおきな世話だし、よそのブログにいちゃもんをつけてばかりじゃ、わたしの人格まで疑われてしまいそうで。
しかしイヴァンさんのブログが偏ったもので、世界の分断を助長させ、日本を戦争に導くのに加担するものなら、未来をしょって立つ若者たちのためにも見て見ないふりはできない。
さて、どうだろう、彼はわたしのブログを読むだろうか。

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