最近のテレビ番組に観たいものはほとんどないものの、それでもわたしの部屋にあって、これほどおもしろいとものはないというドキュメンタリーがひとつ。
わたしはアメリカの大統領選挙のニュースを録画して、必要な部分だけを時系列通りに並べてあるんだけど、それが全部で6時間分もある。
いまそれを見返してみると、まだ選挙結果がわかってないころから、しだいにトランプさんの勝利が確実になっていき、NHKのおもわくがガタガタと崩壊していくさまを順番に追うことができるのである。
もちろんわたしは結果がわかってからこれを書いているので、自分の考えが正しかったと自慢するつもりじゃない。
しかし日ごろからNHKの欺瞞を訴えている手前、それが白日のもとにさらけ出されるのを観るのは、出演者がギャァギャァ騒ぐだけのバラエティ番組なんかよりずっとおもしろいのだ。
ええ、わたしぐらいヒトの悪い人間がいないことは認めます。
NHKのおもわくからすれば、今回の選挙は大接戦であるはずで、どちらが勝っても内戦ぎみの混乱になるだろう。
そのさいロシアに責任を押しつけるつもりで、選挙まえから早々と、FBIがロシアの選挙介入を懸念しているなどという報道もあった。
あにはからんや、結果は予想外の大差で、ロシアの悪さぐらいで影響を与えられるわけがないという結果になってしまった。
もったいぶった解説をしていた識者なる人々が、面目丸潰れになるのを観るのはタノシイ。
そもそもウィスコンシンやミシガンでハリスさん有利と聞いて、わたしはおかしいと思った。
このあたりは“ラストベルト(錆びついた工業地帯)”といわれ、労働者たちがもっとも苦しんでいる地帯である。
これまでの発言を聞くかぎり、トランプさんのほうが外国製品を許さない、雇用を守る、移民を増やさないなどと、直接的に労働者に寄り添うようなことをいっていた。
ハイチやプエルトリコに対する暴言もあったけど、それでもヒスパニックでさえ、これ以上移民を増やさないといわれれば、自分たちの職場を守るということで彼を支持したのだ。
だからこのあたり一帯ではトランプさんの支持者のほうが多いだろう。
わたしはそう思っていた。
開票が始まったばかりの6日の午前中でおもしろかったのは、明海大学教授サンが、わたしは州の結果よりも、その下の単位である郡の動向にも注目していますといっていたこと。
この選挙は接戦といわれながら、どちらかが大勝ちするんじゃないかともいわれましたけど、郡レベルで見るとほんとうに大接戦のようですと。
彼はひとこと余計なことを言いすぎた。
どちらかが大勝ちする、でやめておけば予想は的中していたのに。
あとから勝敗についてもっともらしいことを並べても、ぜんぶ言い訳か負け惜しみにしかならんのだよ。
この教授サンは、わたしは(米国の内情に熟知している)プロですからと自分で言っていて、翌日の選挙報道にも引っ張り出されていたけど、もう気のドクな晒し者でしかなかったね。
開票が始まってからテレビ画面の下に開票結果が刻一刻と表示されていた。
6日の昼ごろの時点で、両候補の確保した選挙人の数は、トランプさんが170、ハリスさん90ぐらいだったから、わたしが見てもトランプさんが優勢のようだった。
しかしNHKの報道を観ているかぎり、なかなかそうは思えないのがミソ。
日本の公共放送はまだハリスさんに勝機があると考えていたようだ。
しかし夕方の報道では、すでに7つある激戦州のほとんどがトランプ側に奪われていて、慶応義塾大学の教授サンが、激戦州のほとんどを落としたのでは、最高裁でもくつがえすのはムリでしょうといっていたのが印象的だった。
戦い終えて新大統領に決まったトランプさんは、イスラエルに関してはバイデンさんより過激だという意見がある。
なるほど、彼は大統領だった時代にイスラエルの肩を持って、アメリカ大使館をテレアビブからにエルサレムに移したことがある。
しかし当時はイスラエルによるパレスチナ人の虐殺もなかった。
その後の経緯をながめて、平和主義者のトランプさんがイスラエルのジェノサイドを容認するかはわからないし、彼が大統領に返り咲いたのもアラブ勢力のおかげと思えば、またそっくり以前のトランプさんに戻るかどうかは誰にもわからない。
はたしてわたしたちの前に現れるのは、新生トランプさんか、旧態依然のままのトランプさんか、戦争や紛争を望まない奇跡的にめずらしい米国大統領か、わたしは新しいトランプさんであることを祈るけど。
開票速報の合い間には中国の国際見本市のニュースや、モルドバの大統領選挙、韓国のホームレスによるサッカーの国際試合、ベトナムで日本酒の品評会などもはさまり、同時に世界でどんなことが起こっていたかを知ることができた。
アメリカの選挙だけではなく、こういうふうにつねに全体を俯瞰しておくことが大切なのだ。
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