今年最後のぼやき
見上げれば星また星の師走かな
なんてことのない平凡な俳句である。
しかしこれに「老いぼれた老人が足の運動というルーチンの途中でボヤいたもの」という前書をつければ、たちまちしみじみと、死にかけたじいさんの悲哀が伝わってくる名句になる(ような気がする)。
わたしの深夜の徘徊も、今夜は自転車で初詣にでも行ってみるつもりだから、今年は昨夜で終わりである。
この季節は世間の商業活動がひと休みになって、交通量もがたっと減るので、木々のこずえに星がきれい。
ついつい空を見上げてしまう。
ひときわ輝く木星は中天にある。
映画「山猫」のバート・ランカスター扮する年老いた公爵になったつもりで、星につぶやいてみる。
世界が分裂と対立ではなく、また仲良くなるってことは、永遠に、いや、わたしが生きているあいだには来ないんだろうか。
中国やロシアを思う存分かけめぐった若いころがなつかしい。
当時と比べれば、狭くなるはずの世界が、なんでますます遠いものになるのか。
未来は、子供たちは、美しい地球は、いったいどうなるのか。
わたしは奇跡的にめぐまれた場所で、奇跡的に幸運な時代を生きたことになるのか。
そりゃとっても申し訳ないことだなと思いつつ。
やれやれ。
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