趣味
この人も高齢になって園芸に目覚めたようで、共感できる部分は多い。
だいたい老人が始める趣味は、旅行(日帰り含む)、テレビのまえに座り込む、読書、映画鑑賞、囲碁将棋、釣り、パソコン・インターネット、音楽鑑賞、カラオケ、ガーデニング・家庭菜園、料理、ゴルフなどたくさんあるけど、わたしの場合は、ゴルフのような金のかかるものはダメ、音痴だからカラオケもダメ、人間ギライだから囲碁将棋のように人間相手のものはダメ、ほかの動物が死ぬのを見るのはいやだから釣りもダメ、読書や映画やインターネットは若いころからやっているから何をいまさらという具合で、じつに趣味の少ないつまらない人間なのである。
そんなわたしに幸運の女神が微笑んだ。
仕事をリタイアして新しい住まいを探していたとき、たまたま見つけたのが、上に載せた花いっぱいの団地だったのである。
これは団地に住んでいた老人がボランティアで始めたものだったけど、彼はわたしと入れ違いに引っ越してしまった。
するとあとに残された花壇はたちまち荒れてくる。
見かねてわたしがボランティアを引き継ぐことにしたんだけど、わたしは花を眺めることはもともと好きだったので、これぞまさに天与の趣味といっていい。
園芸というのは気の長い趣味である。
たとえば釣りならその日のうちに結果がわかるけど、草花を育てるのはそうはいかない。
わたしはなんとか数を増やそうと、庭のフクジュソウに肥料をたんとやってみたら、今年は前年より花の数がぐんと増えた。
お、いいぞ、いいぞというわけで、今年はヒヤシンスにも肥料をどっさり与えてみた。
さて、増えるかどうか。
結果がわかるのは来年の冬である。
それまでわたしが生きているかどうかは定かじゃないのである。
それでも年寄りには時間の過ぎ去るのはおそろしく速い。
去年の春に、来年のサクラをもういちど見られるかねえとぼやいたものが、あっという間にまたそんな季節になった。
ヘタするとまだ5回や6回は新しいサクラを見られるかも知れない。
今年は種をとっておいたタチアオイやヒマワリも蒔くつもりなので、それも結果を見たいのだ。
| 固定リンク | 0
コメント