上海/菜館のB
人間は生きるために食べるのか、食べるために・・・・これは前にも書いたよな。
書いたかどうかはどうでもいいけど、やはり夜になるとメシを食いに行かなければならない。
わたしは日本にいるときも、いつもレストランに入るのに躊躇する。
高級な店は最初から選ばないから値段はそれほど気にしないけど、初めてのレストランだとどうも慣れたふうに入っていきにくい。
これも人間嫌いで、ひきこもり傾向があるせいか。
しかしこれは世界的傾向で、某有名ラーメン店では、店の人間とまったく顔を合わせずに、注文食事のできるところもあるらしい。
回転寿司だって店のタブレットで注文できて、本人は最後まで発声しないで済む店が多い。
そしてこれが来日した外国人に大受けだそうだ。
わたしみたいな人間にはありがたいご時世になったもんだけと、そんなこと以外にも、最近では若い人向きの店が多く、むかしのような定食屋、一膳飯屋が少ないからだ。
どんぶりメシの上にモツの煮込みをぶっかけて食べたむかしが恋しい。
そんな話をすると、ミーハーおばさんはかならずイヤな顔をする。
なにがカルパッチョだ、なにがミネストローゼだよ。
わたしは横文字料理に拒否感を持つアナログじいさんなのだ。
晩飯を食べるために、錦江飯店近くの庶民的な店が集まった一画に行ってみた。
路上にテーブルを並べて、大勢が飲み食いしているレストラン、というか庶民的な食堂があった。
わたしの理想とする店だけど、混雑していて入れない。
すぐ近くでミーハーおばさんに、安いよ、安いよと声をかけてくる呼び込みの女の子がいた。
声をかけてくる時点で要警戒だけど、ためしに2階にあるその店を、のぞくだけのぞいてみようと階段を上ってみた。
2階はけっこう大きな店で、見通しのよい店内に、中国人客が2/3ぐらいの入り。
とくべつ高級な店にも見えなかったから、ここでいいだろうとテーブルに座った。
この店は「久久滴水洞」といって、ごちゃごちゃと混雑している店のすぐわきの2階にある。
帰国してから調べてみたら湖南料理ということだけど、それがどんなものか知らない。
またボトルを持ってこられても困るから、この日は生ビールにした。
まだ生ビールなんてものがおずおずと中国国内に入り始めたころ、わたしは内陸部の開封で、急速に冷やすために樽に氷を入れた生ビールを飲まされたことがある。
1996年のことで、そんな悲惨な当時に比べれば、中国にも日本と同じビール文化が根付いたかと感慨があるな。
メニューは写真入りだから、注文をするのに問題はない(ここに載せた4枚組写真はメニューからコピーしたもの)。
肉饅頭を頼んでみた。
和菓子によくあるような、イボイボのついたひと口サイズの饅頭が出てきた。
こんなものは頼んでないぞと苦情をいうと、相手は注文票をみて、これが肉饅頭(珍珠肉丸)ですという。
メニューの写真と大幅に違っていたのはこれくらいで、ほかはまあ満足できるものだった。
メニュに“西紅柿=トマト”があるのに気がついた。
トマトはわたしの好物で、過去に中国に行ったときは、市場で安心して買える生野菜はこればかりと、どこへ行っても盛大に食べたものである(そのあたりの事情はブログに書いたことがある)。
いまでも毎朝、食パン2枚とコーヒーに、塩をふったトマト1コを食べるのが、わたしの朝食のルーティンだ。
ただし中国でこれを頼むときは注意を要する。
トマトはこの国では果物の扱いらしく、黙っているとかならず砂糖をふられてしまう。
店内に元気のいい中国人の女性が飛びまわっていたから、彼女をつかまえて、糖はペケ、塩が◯と文字に書いてまで念を押した。
おかしな注文に厨房でも心配だったのか、出てきたトマトに塩はふっておらず、小さな皿に盛られた塩が添えられていた。
この店でいちばん美味しかったのが里芋の煮っころがしに、真っ赤なピリ辛ソースをかけた料理。
わたしが肉が苦手なせいもあって、目をつけた野菜料理だったけど、こいつはビールに絶品だった。
ほかにも美味しいものがあるかも知れないから、メニューの品を全部試してみたかったけど、わたしもミーハーおばさんも、少食ということでは世間の標準から抜きん出ているのである。
勘定を払っているとき、レジのわきに“日本人御用達”と書かれたパネルが貼ってあるのに気がついた。
久久滴水洞は商社の日本人社員などがよく来る店らしかった。
こういう人種がよく利用する店で有名なのは、わたしも何度か行ったことのある日本料理の「伊藤屋」だ。
比較的に安価に日本酒や、寿司、刺身、天ぷら、冷や奴、枝豆などが味わえるので、この旅でもいちどくらい行ってみようと、あちこち尋ね歩いてみたけど、なかなか見つからない。
たまたま錦江飯店の近所を歩いていたら、とある路地の入口に看板を見つけた。
わたしが入ったことのある店はもっと通りに面していたと思ったけど、じっさいには路地の奥だった。
過去に行ったのは30年ちかく前なので、そのあいだに移転したのかと思ったら、この店はチェーン店になっていて、市内のあちこちにあるのだそうだ。
しかも発見したときの時間帯にはまだ営業してなかった。
夜になったらまた来ようとミーハーおばさんにいったけど、くたびれて部屋で寝込んで、けっきょく今回は行く機会がなかった。
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