上海Ⅱ/科学技術館
2日目は朝から銀行に行くことにした。
じつは中国へ出発のすこしまえに、以前の海外旅行であまった外国紙幣を日本円に換金したことはこのブログに書いたけど、そのさいロシアのルーブルは交換してもらえなかった。
オリンピックに参加させないとか、ロシアのバレエは観せないとか、日本政府もケチなことをするものだけど、中国とロシアの仲は悪くないのだから、中国に行ったついでに、両替、つまりマネーロンダリングをしてみようというのである。
中国銀行もホテルのすぐ隣りにある。
日本の銀行に比べるとだいぶこじんまりした銀行だったけど、ガラスの仕切りの向こうに行員の女の子がいるのは日本と同じ。
でも香港では現金輸送車のガードマンは実弾の入った銃をかかえているぐらいだから、上海でもガラスは防弾ガラスだと思う(叩いてみないからわからない)。
平和な顔をしたじいさんのわたしは何もいわれずルーブルの交換ができた。
持っていたロシアルーブルは2,550ルーブルだから、日本円にすると5千円にもならないくらいで、中国元では・・・・ああ、いくらになるんだ!
インターネットがあれば、そんなものは即座にわかるんだけど、中国ではわたしはWi-Fiが使えないのである。
おおらかなわたしは銀行員を信用して、もらった人民元を数えもせずに、そのままこの日は新しい上海博物館に行くことにした。
上海には人民公園のわきに立派な博物館があるんだけど、5月の訪問のさいに行ってみたら、貴重な文物のほとんどがよそに移転して、展示室がカラっぽになっていた。
帰国してから調べてみたら、それは浦東新地に新しくできた博物館に引っ越ししたという。
で、今回は新しい上海東博物館に行ってみることにしたんだけど、まだわたしは浦東新地というところをじっくり見たことがない。
中国政府が威信をかけた経済特区であり、東方明珠のテレビ塔やおびただしい高層ビルの立ち並ぶ場所だから、ついでにこのあたりを眺めてくれば、またなにか新しい発見があるかも知れない。
博物館に行くには、メトロでもより駅の「淮海中路」 から、13号線(路線図ではピンク色のライン)で「南京西路」へ出て、2号線(路線図のグリーン)に乗り換え、「上海科技館」という駅で降りればよい。
南京西路駅で乗り換えのためにいったん地上に出てみたら、世界最大というスターバックスの目の前だった。
話のタネに見物してみたかったけど、ミーハーおばさんはコーヒーが好きなくせに、ケチな性分だから、中国に来てスターバックスを見物しても仕方ないわのひとことで却下。
世界最大は無視して博物館へ向かうことにした。
目的地の上海科技館駅に着いて地上に出ると、なんかやけにだだっ広いところだった。
科技館のあたりは「世紀広場」という大きな公園になっており、駅のすぐとなりに変わったかたちの建物がそびえていて、これが「上海科学技術館」だった。
現在の中国は科学の分野でも見るべきものは多いから、元気なころならわたしも興味を持ったはずだけど、足がへなへななので、とりあえず博物館優先ということにした。
博物館も科技館から数百メートルのところにあって、一部木々に隠れていたけど、建物の写真をプリントして持っていたのですぐにわかった。
ちょっと意外だったのは、浦東新地に思ったより人影が少ないことである。
浦東新地を象徴する上海タワーや上海環珠金融センターからはだいぶ離れているし、平日の公園なんてそんなものさというなかれ、同じ公園でもかっての租界にある外灘公園なんか、いつ行っても人であふれているのだ。
公園を横切りながら考えた。
どうも人間というのは混雑に親近感をおぼえるものらしい。
ニューヨークやロンドン、パリ、東京にしても、人々が押し寄せるのはたいてい混雑した場所である。
ニューヨークが整然と区劃され、庭に芝生の植った住宅ばかりだったら、そんなところに移民が押し寄せるだろうか。
旧市街(租界)の混雑を緩和させようとした中国政府のもくろみは成功したかも知れないけど、正直いって、わたしはこういう無機質な場所がキライである。
建物はコンクリートとガラス張りで、近代的なデザインであるものの、どうにも人間らしさに欠ける。
人間の生活らしきものを発見したのは、博物館の近くで話しかけてきたタクシー運転手ぐらいだった。
ダンナ、タクシーは要りませんかと、つまりつけ待ちをしていた運転手が客引きをしていたのだ。
ここなら帰りのタクシーを捕まえるのは容易であるようだった。





































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