上海Ⅱ/静安寺
静安寺のまえの公園にはサイがいた。
いや、パンダの間違いじゃない。
ここでは秋の収穫祭みたいなことをしていて、大勢の行楽客がやってきていて、その景気づけのためのでっかいオブジェ。
子供たちは喜んでいたよ。
ところで前に書いた「世界の辺境マニア」君もそうだけど、わたしがハッパをかけたせいか、最近中国を紹介するユーチューバーが増えてきたね。
日本と異なるめずらしい風景や、風光明媚、奇勝絶景も多く、いまのようにやけに中国の不景気が強調される時代では、真実を知りたいと思う人も多いだろう。
海外を見せる映像は人気があるんだから、YouTubeで儲けようと思ったら、東欧系の美女と結婚しなくても、そのへんの兄ちゃんでも簡単にユーチューバーになれる舞台がすぐとなりにあるわけだ。
しかもスマホに翻訳アプリを入れておけば、言葉の壁もない。
日本で台湾有事なんてほざいているのが少数のアホだけであるように、反日中国人なんてほんのわずかだ。
地球鉄道の中山卓也くんや、辺境マニア君もいたるところで気持ちよく歓待されているではないか。
ああとわたしはまた嘆息。
わたしが中国をうろうろしていた25年まえにYouTubeがあれば、わたしもいまごろ成金だったよ。
そしたらいまごろ、ボロ団地でダイコンを煮てることもなかったのに、つくづく己れの不運をなげいちゃうな。
上海という大都会の報告なんて意味がないやと、紀行記連載にも熱が入らんよね。
NHKにいちゃもんをつけているほうがよっぽどおもしろいので、この上海紀行もさっさと片付けよう。
静安寺にはドラムセットを並べている路上演奏者や、似顔絵描き、風船売り、いろんな食べ物が味わえる屋台など、日本の縁日や週末の公園などでもよく見られる光景があった。
骨董品も売られていたけど、貴重なものがあるわけもないし、そんなガラクタを蒐集してイキがるほどわたしは若くない。
屋台ではいろんなものが食べられるけど、わたしもミーハーおばさんも少食なので、なにか食べようという気になれない。
園を一周すると、地表から一段低くなった円形の広場があった。
この日は広場でも何もしてなかったから、わたしはトイレを借りるくらいしかやることはなかった。
公園内をひとわたり眺めたあと、道路の向こうにある静安寺に肉薄してみた。
寺は立派だった。
派手な色彩に塗られて、立派すぎるくらいで、こっちのほうが公園よりも観光客が多いくらい。
でも無神論者で、こういう名所が好きではないわたしは、感心するでもないし、入ってお賽銭を上げようという気にもなれない。
門の外からぼんやり眺めるだけである。
寺の縁起を調べてみると、三国志の時代に創建だそうで、空海も立ち寄ったとあるから、昨日今日に出来た寺ではない。
はてね、わたしが初めてひとりで上海をうろついた1994年に、この寺はあっただろうか。
タクシーの運転手に静安寺の近くへ行ってくれと指示した覚えがあるから、地名としては知っていたらしい。
しかし、当時から通俗的な観光名所に興味がなかったから、お寺そのものは見ていない。
こんなことを考えたのは、わたしが初めて中国に行ったときより15年ほど前、中国では文化大革命の炎が燃え上がり、紅衛兵たちが荒れ狂ったからだ。
古い伝統と訣別するとかで、多くの寺院や遺跡などが破壊された。
上海でも例外ではなかったはずで、そのとき静安寺はどうなっただろう。
ウィキによると、静安寺 は1984年に再建とあり、これは紅衛兵騒動がおさまってすこしあとのことだから、中国では経済に余裕ができると、各地で破壊された寺院の再建にとりかかっていたらしい。
宗教ギライの共産党だから、信者のためを思ってではなく、あくまで観光資源としてだろう。
パリにノートルダム寺院があり、イタリアにはサン・ピエトロ大聖堂があり、ロシアには聖ワシリイ大聖堂、血の上の救世主教会、イサーク大聖堂、カザン聖堂(わたしが見てきたものばかり)があり、東南アジアはなにをいまさらという具合で、日本だって長野の善光寺、伊勢の伊勢神宮、奈良の鹿で有名な興福寺や東大寺、外国人が押し寄せる浅草の浅草寺など、全国にある有名な神社仏閣はたいていが観光客のためのものだ。
日本を視察にきた鄧小平は、先進国になるためには、莫大な拝観料が見込める寺院の復活も必要ということを学んでいったのかも知れない。
正門から見て右のほうに、タイやシンガポールにあるような金ピカの獅子の像が立っている。
あれはライオンねとミーハーおばさん。
日本なら狛犬か狐がいいとこだけどねえ、中国の寺のポリシーはわかりにくいなとわたし。
静安寺は金ピカ派手派手で、べつに御利益がありそうでもなかったから、とっくにあごを出していたわたしは、ひと駅区間だけ地下鉄に乗って、また南京路に移動することにした。
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