思い出
思い出というものがある。
そんなものにこだわるから女々しいといわれるのかも知れない。
女々しくない男というのは、思い出なんかさらりと捨てて、前だけを向いて生きているのかも知れない。
わたしの場合思い出はたくさんある。
いまのように脳梗塞で寝たきりになると、ほぼ朝から晩まで思い出にひたっている。
両手にいっぱいどころじゃない、わたしの場合4トントラックいっぱいはありそうだ。
若いころ奥多摩、奥秩父をひとりで歩きまわったことや、中国、ロシアを旅した記憶、日本各地をドライブしたこと、そういうアクティブな記憶だけではなく、たとえば初めて宮沢賢治の詩を知った瞬間なども、懐かしい思い出だ。
こうやってみると、わたしの過去は、人生のほとんどすべてがなつかしい思い出に満ちている。
もちろん思い出したくない思い出もトラックいっぱいはある。
いま毎日、そういうものに押しつぶされそう。
これでは女々しくなるのも当然かも知れない。
いつ死んでもいいと考えているくせに、自分で死ぬ勇気はないのだ。
最近知り合いの女の人が冷たくなったような気がする。
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