前兆
不自由な体で、昨日も病院へ行ってきた。
完治するわけがないよ、脳梗塞が治るわけがないと宣告されに行ったようなものだった。
わたしはバカだった。
考えてみれば前兆はあったのだ。
覚えているかな、去年の10月に上海へ行く前、わたしは深夜の散歩に出て、軽いジョギングをするつもりで散歩道で転倒した。
そのまましばらく起き上がれず、顔にすり傷をつくったまま、かろうじて部屋にもどり、上海にはでっかい絆創膏をつけたまま強引に出かけてしまった。
あれほど確かな前兆はなかったのに、わたしには脳梗塞になんかなるはずがないという自信があった。
ふだんのわたしは酒もタバコもほどんと嗜まず、食事は野菜主体の質素なもの、それで夜中にせっせと散歩だ。
わたしが脳梗塞なら日本中の男がみんな脳梗塞さ、という驕りのようなものがあったのだ。
でも今さら後悔しても仕方がない。
脳梗塞でなくてもわたしの晩年はこんなもので、なにかしらの不幸に襲われることは決まっていたのだろう。
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