
ほかに特別の趣味を持たないわたしにとって、春になるとまわりが気になる。
この団地に来てから手を出した園芸の、新シーズンが始まるのだ。
そこで、ウクライナ戦争と並行してときどき書いている園芸について、これまで花壇の花をいくつか紹介してきたけど、その舞台についても説明しておこう。
わたしの住んでいるのはどこにでもある5階建ての公社団地で、共有のせまい庭はあるけど、とくに花壇なんてものはなかった。
庭からネットの垣根を越えたところが、樹木のまばらに植えられた南向きの斜面になっていて、同じ団地に住んでいた老人が、10年がかりでこの場所の雑草を抜き、石を取り除き、さまざまな花を植えて花壇に仕立て直したのである。
この老人のガーデニングの腕は確かなもので、あまりの花壇の見事さに、通りがかりの人が思わず足を止めるほどだった。


わたしがこの団地に越してきたのが2020年の4月のことで、もともと花を見るのが好きだったわたしは、花壇に咲き乱れるシバザクラに息をのんだ。
そのころ咲いていた花を挙げてみよう。
シバザクラ、マツバボタン、マツバギク、サクラソウ、スイセン、スノーフレーク、チューリップ、マーガレット、キンギョソウ、ガザニア、イベリス、カーネーション、ビオラ、パンジー、その他の名前のわからない花などなど。
時期が変わればこれにクロッカス、ノースポール、オニユリ、マリーゴールド、コスモス、ヒガンバナなどが加わる。
各地にある花の名所でも、これほどいろんな花がまとまっているのを見るのはめずらしいんじゃないか。
ところがわたしが越してきて2年目に、ボランティアで花壇の世話をしていた老人が、家庭の事情とかでとつぜん引っ越してしまった。
するとたちまち雑草が目立つようになる。
せっかくの花壇は荒れてくる。
こういうとき、さて、あなたならどうする?
うーんと考えたあげく、これもなにかの縁だとあきらめて、あなたが花壇を引き継ぐんじゃないか。
わたしがまさにそれだったのだ。
じつはわたしは花が好きで、たまに鉢植えの花を買ってくることはあるけど、自分で園芸なんかやったことがない。
買ってきた鉢植えも、部屋に飾ると、たいていはげんなりしてしまうことのほうが多かったから、ほかの才能はないくせに、わたしには花をダメにする才能だけは天賦のものがあるようだった。
しかしわたしがやらなければだれがやる。
こういう高齢者に見込まれた花壇のほうも気のドクだけど、相手がものいわぬ植物だけあって、ヘビやカエルや熱帯魚なんぞを飼うよりは罪の意識はなくて済む。
そのかわりYouTubeに載せてもファンはつきそうにない。
このご時世になんたる無益なことよ、やっぱりわたしってなにをやっても世間から認められないように生まれついたんだなと悲観的になるけど、それでも他人に迷惑をかけないボケ防止の運動と思えば、こんな趣味でも役には立つものだ。
というわけで、またときどきは花壇についても更新しますんで、ヨロシク。
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